遠藤 直哉

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発売日: 2004-07
発売元: 近代文芸社
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実は凄い差別論者なのでは?
着床前診断については全面否定ではなく、頷ける部分も大いにあったが、後半の卵子提供、代理懐胎に至っては、はっきり言って筆者の暴走に思えてならない。
まず「精子提供(AID)を認めながら卵子提供も代理懐胎も認めようとしないのは女性不妊に対する差別である」
とあるが、そもそも体外へ放出する性質のある精子と放出させない卵子とでは当然リスクも違ってくる。万一の場合は死に至る事もありえる卵子提供や代理懐胎を精子提供と同列に扱え!と言う方が余程、女性の身体の構造を無視した差別論ではないのか?
挙句は
「親から虐待受ける子や生みの親と引き裂かれる養子と比較すればはるかに幸せなら、離婚率の増加、出来ちゃった結婚など明らかに子供の福祉が守られてない現状を思えば、そこまで子を欲する人の下に生まれた子は誰より幸福」
代理懐胎だって必死な思いで産み落とした子をDNAの繋がりが無いだけで、無理やり引き剥がされる。しかも筆者は代理懐胎の場合、依頼者側を実親とすべきと主張している。無償で他人の子を産む為に生活制限を余儀なくされ、あげくは命がけで産み落とすや否や、その事実を帳消しにされる。養子の場合は特別養子であっても出自欄に実親名が記載されるが、それ以上に性質が悪い。
「昔の日本は”子無きは去れ”と一方的に女性が帰されたが、これからの日本社会は精子提供、卵子提供、代理懐胎等で子が持て離婚の危機を救える」
子供が産めなかっただけで離婚の危機に晒される方が問題ではないのか?
筆者は事ある毎に日本国憲法13条「幸福の追求」を掲げて卵子提供、代理懐胎の容認を訴えるが、だったら搾取される側にだって「幸福の追求権」はあるのではないのか?
しかも海外で代理懐胎を行うとなると金銭絡みになるので無償で、なおかつ依頼しやすい身内を優先すべきなどと言われては、卵子提供も代理母もやりたくないのに身内から脅迫され、逃げ場を失った女性は幸福になる権利は無いと言うのか?
読んでいて気分が悪くなった。
日本の生殖医療に関する議論
日本の生殖医療についての議論は、15年は遅れている。何故そんなに遅れたのか、どこに論点があるのか、といった事を明快に提起してくれている。
少子化対策を立てていく上で、避けて通れない問題について解り易く、今現在起こっている事を取り上げて議論されており、一読の価値がある。
惜しむらくは、筆者に対する反対意見が十分に書かれていない事である。
